2019年9月29日日曜日

正信偈のお話 道綽決聖道難証⑧

道綽決聖道難証 唯明浄土可通入
万善自力貶勤修 円満徳号勧専称

前回は始めと終わりを繰り返す仏教の宇宙観のお話をしました。
同様に釈尊の説いた仏教にも、時代とともに変化が起こるというのが末法史観(まっぽうしかん)で、正法(しょうぼう)・像法(ぞうぼう)・末法(まっぽう)、さらに法滅(ほうめつ)の時代がくるという教えです。

道綽(どうしゃく)は、その著『安楽集(あんらくしゅう)』で、先のような時代区分を立てています。

それは少年時代から仏教が滅びたり、また復興したりという不安定な状況を身をもって体験したことと重ね合わせているのです。
「あぁ、私たちは末法到来の時に生まれ合わせたのだ」という深刻な危機感が、彼の思想・信仰にはあるのでした。

2019年9月26日木曜日

彼岸会法話「塔婆」

願隨寺での彼岸会の前日、代務寺院で彼岸会を勤めました。
その際、法要を待つご門徒さんたちが「墓寺に塔婆を申し込んでおいたのに立ってなかった」「うちも!」と話しておいででした。
どうやら、墓地のある他宗のお寺さんが塔婆を立て忘れたようです。
;O ̄)「怖~っ」
真宗は塔婆を立てませんし、余所のことですが、何かにつけついうっかりでは済まされないことには気をつけねば・・・と思いながら控えで聞いていました。

さて、勤行を終え、法話の段になったとき、「せや、塔婆のこと、当たり前のように話してるけど、一応説明しとかんとあかんな」と思い、今回の彼岸の法話は塔婆のことをお話しさせていただきました。
その流れで、願隨寺でも同じ話をさせていただきました。

塔婆は、正しくは「卒塔婆(そとば)」であり、昔のインドで仏塔を現すサンスクリット語「ストゥーパ」に中国で字が当てられたものです。
お釈迦さまのお骨をお祀りする仏塔は、始めは大きな塚の形だったのですが、その後に半円に台が付き、高貴な方に差し出される傘が付けられます。
それが中国に渡った際、塚は楼閣の形になり、それが小型化して宇宙の五大元素と考えられていた「地(四角)」「水(円)」「火(三角)」「風(半月)」「空(宝珠)」を重ねる五輪塔へと変化します。
そして、五輪塔は石製から木製へ、そして薄い板へと変わりました。
ですから塔婆の上部のボコボコした形は五輪塔を模したものなんです。


さて、一応塔婆を説明したところで、ここからが肝心なところです。
真宗は塔婆を立てません。なぜでしょう?
よく「真宗は楽でええわ」とおっしゃいますが、別に楽してるわけではありませんよ(笑)。
・・・と、長くなってきましたので続きはまた今度。(・∀・)ノ

2019年9月24日火曜日

秋期彼岸会のご報告

秋の彼岸会が無事に勤まりました。

今年は天候が不順なのか、彼岸花の開花が遅れているようですね。
これが地球のサイクルなのか、人間がもたらしたことなのか・・・。
環境を変えてしまうほど業の深い人という存在。
それ故に、それでもお見捨てにならずに私たちを見守り、みなを救うと呼びかけてくださる阿弥陀様の願いの有難さを思うことです。

さて、この度の法要には、先の連休に「真宗に学ぶ会」で一緒に上山していただいたご夫婦がお参りしてくださいました。
上山の最後の日には講座の締めくくりということもあり各々の思いを誓っていただくのですが、その誓いの通りにお寺と仏法とのご縁を深めに来てくださったことを、本当に嬉しく思います。

そうしたご門徒のみなさんと願隨寺本堂でお会いし、一緒にお勤めができることに感謝です。
【by坊守】

2019年9月22日日曜日

明日の彼岸会の準備、整いました


ちょっと腰痛が出ていて心配しましたが、無事に法要の仏華も立て終わりました。
家族でお荘厳もし直して、明日の準備OKです。

台風の影響で少し天候が心配されます。
先月の永代経のときも西日本を台風が通っていきましたが、中止にするほどではありませんでした。
今回もその程度で済んでもらえることを願います。

先週、「真宗に学ぶ会」で上山してくださったご門徒さんは来ていただけるのかなぁ・・・。
講座を通してお寺がこれまで以上に身近になって、お参りしていただければ嬉しいんですけど。

受講者の方に限らず、常連のご門徒さんも、まだ参詣未経験のご門徒さんも、心よりお待ち申し上げております。
亡き人へ思いを届け、お仏法に触れていただく秋の一時に、どうぞご参加ください。

§ 彼岸会法要 §
 日 時:9月23日(月) 午後7時
 場 所:願隨寺本堂

2019年9月19日木曜日

「真宗に学ぶ会」第六講・上山研修③ ~ お給仕の仕方・清掃奉

2日目は両堂での晨朝のお勤めの後、帰敬式です。
新しく仏弟子になられる方々のどこかピリッとした緊張感と清々しさが伝わってくるようなお式でした。

お昼からは快晴の境内に出て記念写真の撮影の後、お内仏のお給仕の講義です。

お給仕は日々の暮らしに目に見えて関わるものですので、ご門徒さんにとって一番関心があるものです。
本山のスタッフとして私たちについてくださる補導さんが、丁寧にお内仏の荘厳の由来やお飾りの説明をしてくださいました。
鶴亀の向きやお仏飯を置く場所など、これまで何となくしていたお給仕の正しいやり方を聞いて、皆さん関心したり反省したりされていました。


お勉強の後は各班ごとに担当箇所に分かれての清掃奉仕です。

私が参加した班では大寝殿の前の長~い廊下の拭き掃除をしました。
3人一組で一列になって幅の広い廊下をバックしながら拭きあげていきます。
なかなか大変でしたが、人生で一番長い距離を拭いて何とも言えない達成感があると喜んでおられました。
下の写真なんて、正に「やりきった~!」って感じ出てるでしょ。(*^-^*)
これも上山しないと味わえない体験なのでしょうね。
【by坊守】

2019年9月18日水曜日

「真宗に学ぶ会」第六講・上山研修② ~ 座談会

住職は二泊三日フルでスタッフに入る事になっていましたので、研修初日は自坊の法務は私が勤め、遅れての参加になりました。

本山についたのは夕食後。
控えで一人、途中で買ったお弁当を「いただきます・・・」。


食事を終えて、そぉっと部屋に入ると、講義の後の座談会の時間で、すでに皆さん打ち解けて講義を聞いて感じたことを語り合っておられました。

座談会では講義で『観経(観無量寿経)』に触れられたこともあり、真宗での『観経』の受け取りについて質問された方がおられました。
その後は尊厳死の話からそれぞれの大事な人の死に立ち会った時の経験談などを語り合いわれました。


これまであまり人に話したことがないような事を話せるのは、ここが親鸞聖人のお膝元である本山だからでしょうか?
それともこれまでの座談会で築いてきた信頼感からでしょうか?
それはやっぱり、何のしがらみもなく語り合える班の雰囲気のおかげよね♪とみんなで笑いあっておられました。

座談の後は男女の部屋に分かれて入浴の後就寝です。
和敬堂の1階に新設されたお風呂はとても綺麗で、まるで温泉旅館のお風呂のようだと好評でしたよ。   by坊守】

2019年9月17日火曜日

「真宗に学ぶ会」第六講・上山研修① ~ 帰敬式

大阪教区第27組主催の同朋の会推進講座「真宗に学ぶ会」は、若干の趣旨や名称を変えながら、45年に一回のペースで行い、今回で第5期目。
昨年の121日から始まり、全六回として行われてきたこの講座も9月14日から16日の二泊三日の本山での研修をもって無事終了となりました。

「真宗に学ぶ会」は、真宗の門徒であることは知っているんだけど、具体的に真宗って何がどうかまでは・・・というご門徒さん向けの真宗入門的な講座です。

参加してくださったご門徒のみなさんには、班に別れてその日のテーマでざっくばらんに語り合っていただき、座談の後は先生の講義を受けて学びを深めていただくというのが毎回の流れです。
ただし第一講はテーマなしで「日頃の思い」を語っていただきました。
そして、座談のときに出たキーワードを次回のテーマにするというスタイルで、第二講「合掌」、第三講「ご先祖」、第四講「幸せ」、第五講「居場所」と会を重ねてきました。
ただし、第六講は本山での研修ですので、こちらから「親鸞聖人に遇いに行く」をテーマとさせていただき、親鸞聖人の御真影(親鸞聖人のお姿を模した木像)が安置される真宗本廟(東本願寺)へ上山し、親鸞聖人の教えとその歴史に触れていただくことを願いとしたものでした。


まだ帰敬式(おかみそり)を受けていないご門徒さんには、本山で法名をいただいていただくというのも、上山の大事な趣旨の一つです。
帰敬式とは、仏教の三つの柱(宝)とされる「仏」「法」「僧」の三宝に帰依(拠り所とする)し、仏教徒として、真宗門徒として新たな人生を歩み出すことを誓う大切な儀式です。
受式されますと、仏弟子としての名前である「法名」(釋○○あるいは釋尼○○)が授与されます。

今回、願隨寺からは三名の参加があり、内お一人がまだでしたので私の方でつけさせていただきました。
お名前に「和」の字がありましたので、本山で二泊三日の間利用する「和敬堂」という研修施設から「和敬」の名をとらせていただきました。
和敬・・・本山の和敬堂に行ったなぁ、あの時法名をいただいたなぁと思い出に残ってもらえばと思いまして。(*´∀`*)

(法名伝達式)

ちなみに、『無量寿経』に「修六和敬」とありまして、「菩薩が衆生と互いに和し敬い合って六つの行を同じく修する」という意味です。
つまり、互いに敬い合って聞法していきましょうという願いが和敬堂の名には込められているのだと思います。

釋和敬さま、この度は受式おめでとうございます。
これからますますご一緒に聞法して参りましょう。


2019年9月9日月曜日

福祉会日帰り研修旅行 ~ ATCエイジレスセンター

小吉田福祉会主催の年に一度の日帰り研修旅行です。

今回は大阪市南港(咲洲)にあるATCエイジレスセンターです。
最新の介護用品のショールーム&車椅子体験や介護体験のできる施設です。

最新のアシスト付き車椅子の機能に「ほぉ~!」
可動式介護ベッドの動きに「凄い!」



癒しのAIぬいぐるみパロちゃんに「か~わ~い~い~♥️」
でも、癒しのパロちゃん30万円也。(゚Д゚;)



密封パック式簡易トイレには、ごみの分別に厳しい斑鳩町民らしく「何ゴミに分別したらいいん?」
皆さん興味津々でした。

昼食は泉佐野漁港の魚市場で海鮮定食をいただきました。
お土産もたくさん買い込んで…こちらがメインだったかもしれませんね。
   by坊守】

2019年9月7日土曜日

「奈宗連」現地研修会 ~ 「川路桜」と川路聖謨

去る4日、奈宗連(差別をなくす奈良県宗教者連帯会議)の恒例行事の現地研修会が行われました。

奈良県人権教育推進協議会会長の大寺和男先生に案内していただき、
「川路桜」と川路聖謨 → 野神と「よのみ(榎)」の木 → 大佛鉄道記念公園 → 北市恵比須神社 → 称名寺 → 奈良奉行所跡 → 初宮神社 → 中村直三「農功之碑」
と回る予定でしたが、天気予報の通り、開始直後に土砂降りの雨。
急遽、近くの男女共同参画センターに入れていただき、講堂での大寺先生の講義になりました。

実際にその地を訪れることができなかったのは残念でしたが、今回も沢山の地元の歴史を知ることができました。
その中から一つだけ、川路聖謨(かわじ としあきら)だけですが紹介させていただきます。

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 奈良奉行・川路聖謨は、興福寺や東大寺の境内に桜や楓の木を寄付するとともに、大乗院や一条院の門跡をはじめ町人にも協力をもとめ、桜や楓数千本を植え、今日の奈良公園の基礎ともいえる事業を行いました。
この事業は嘉永2年(1849年)からはじめられ嘉永3年(1850)3月に完成しましたが、その範囲は高円山や佐保川の境まで至りました。
ほとんどの桜は世代交代していますが、その時に植えられた桜が僅かに残っており「川路桜」と命名されています。

川路聖謨は享和元年(1801年)豊前国(大分県)の日田代官所内藤歳由の子として生まれ、後に幕臣である川路光房の養子となります。
17歳で勘定所筆算吟味の試験に合格。
天保2年(1831年)には勘定組頭となり、佐渡奉行を経て奈良奉行となります。
尚歯会(渡辺華山・高野長英ら蘭学に関心を持つ人たちの団体)の有力メンバーであったことなどから、引化3年(1846年)に中央からはずされ奈良奉行として赴任。
嘉永4年(1851年)5月までの5年4ヶ月の間、様々な業績を残し、興福寺や東大寺め境内への植樹のほかにも、拷間の禁止や貧民救済めための資金作りなどがあります。

以後大阪町奉行、勘定奉行を歴任しますが、忘れてはならないことは露国応接掛に任ぜられ日露和親条約の調印に力を尽くしたことです。

奈良奉行在任中、毎日の出来事をきめ細かく記録にとどめています。
これを『寧府記事』といいます。このなかに多くの被差別民衆との交流が書かれています。
身分へのこだわりが厳しかった江戸時代、奉行と被差別民衆との間で、そのようなふれあいがあったことはあまり知られていません。

と、以上が用意してくださった資料の抜粋です。
川路聖謨の本は何冊も出ていますので、みなさんも読んでみてはいかがですか。

2019年9月4日水曜日

慶讃テーマのYouTube視聴状況

真宗大谷派では、2023年に「宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要」をお迎えします。

私としては趣旨は構わないんです。
ただ、先の宗祖の750回忌御遠忌、全国の末寺の執行率が一割程度という状況で、次のイベント、次のイベントへ進むやり方には賛成できかねます。

とはいえ気になる(笑)。
本山のホームページは社会にどんなアピールをしてるのかなぁ?と覗いてみると・・・。
6月に法要期間と慶讃テーマが発表されYouTubeにアップされたのですが、2ヶ月経って視聴回数が900ちょい。
この記事を書くのに改めて確認しましたが、もうすぐ3ヶ月というのに未だ1000に届いていませんでした・・・。

世間の人気動画と比べては可哀想ですが、それにしても少なすぎ。
釣り好きの後輩が上げているタチウオ釣りの動画は一週間で2000に達しているというのに(笑)。
完全に負けてるやん!大丈夫か、真宗大谷派・・・。

ということで、賛成ちゃうと言いつつもなんか寂しくなってしまったので、何の足しにもならないでしょうが、うちのHPとブログにもリンクを貼りました。

よろしければ、観ていただけますでしょうか。(。>人<。)


2019年9月2日月曜日

寺報9月(表) ―坊守エッセイ―


お盆明けのまだ暑さ残る願隨寺本堂で「初参式」が勤まりました。



「初参式」というのは赤ちゃんの誕生を阿弥陀様にご報告し、この命を大切に守り育ててまいりますと誓う仏事です。

お寺版「お宮参り」でしょうか。


主役が赤ちゃんなのでお勤めがあまり長くならないようにしたのですが、この日の為に用意したおめかしにご機嫌斜めな様子。

そんなぐずる赤ちゃんをあやしながら小さな手に手を添えてお焼香している新米パパママの姿は、微笑ましくもあり頼もしくもあり、見ている方も自然と顔がほころびます。
法要が終わるころには赤ちゃんのご機嫌が直り、みんな揃ってにっこり記念撮影できました。


赤い産着のよく似合う小さなあなたが生まれて来てくれたおかげで今日のこの法縁が結ばれました。

願隨寺を見守って下さる多くの先達、ご門徒のご先祖様達も新しく仏縁に連なる小さな命を喜んでくださったことだと思います。   by坊守】