2021年5月20日木曜日

正信偈のお話 十六⑧

善導独明仏正意 矜哀定散与逆悪

光明名号顕因縁

「定(じょう)」(定心(じょうしん)の善)は雑念を離れて心を一つに集中する修行のこと、「散(さん)」( 散心(さんしん)の善)は散漫な心のままですが悪を捨て善を修めようと努力する修行のことでした。
これら定・散の人々を代表するのが『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)に登場する韋提希(いだいけ)という女性です。

次に逆悪(ぎゃくあく)とは、五逆(ごぎゃく)(父、母、聖者を殺す・僧団を壊す・仏身を傷つける)と、十悪(殺す・盗む・犯す・嘘・戯れ言・悪口・二枚舌・貪り・いかり・愚痴)のことです。
この逆悪の人を代表するのが、同じく『観無量寿経』に登場する韋提希の息子・阿闍世(あじゃせ)という国王です。

そして親鸞聖人は、これら定散逆悪なる者とは決してそうした誰か、他者だけを指すのではなく、仏の真実に背き続けている自分自身の姿であると内観(ないかん)されるのでした。

2021年5月10日月曜日

寺報5月(裏)―住職雑感―

この春、コロナの感染が再拡大しはじめた頃、人権関係の全国大会に奈良県の代表として出席した時のことです。

お隣は和歌山県の代表で、お互い「大変ですね」としみじみ。

そこへ前の席に座っていた○○県の代表が振り向き、割って入ってきたんです。
「あんた、奈良か!あんたらなぁ」と関西での感染者の増加に対してもの申されました。

えぇ~、そんなん言われても。
というか、ここはやっぱり「大変ですね」とちゃいます?ねぇ。

この人、これで県の人権の代表なんだとゲンナリ…。
そして、あぁだこうだとおっしゃる言葉に「はぁ」「そうですね」と生返事をしながら私は全く別のことを考えていました。

東日本大震災の後、福島のたくさんの方々も「あんた、福島か!」という言われ方をして、返す言葉もなく我慢されたのだろうな。
そういえば震災の後、幼い子どもさんを抱える福島の二家族をお寺でのホームステイでお預かりしたなぁ。
震災から十年やから、あの子らももう中高校生になってんのやろうなぁ。
元気にしてるかなぁ…と。

ま、話を戻しますと、お参り先のみなさん全員が怒っていたこないだの「この状況の中でGoToイート販売?何考えてるの!」騒動のときじゃなくってよかったってことです。
あれを言われたら本当に縮こまるしかなかったですからね・・・。
県民が恥ずかしい思いをしないよう、行政にはしっかり考えていただきたいものです。

2021年5月3日月曜日

自家製お茶っ葉

お寺の新聞に書きました自家製お茶っ葉の詳細です。

代務寺院の境内で摘んだお茶の葉です。

電子レンジで軽くしんなりさせます。

低温のホットプレートで水分を飛ばし、手で揉む・・・を繰り返します。

すると、干しワカメのようなカリカリのお茶っ葉ができあがります。
爽やかな瑞々しい味がしました♪

【by坊守】

2021年5月1日土曜日

寺報5月(表) ―坊守エッセイ―

若葉萌ゆる新緑の季節、木々の新芽はまだ幼く、黄緑色で柔らかくて何だかとっても美味しそう…。
この時期の若い葉っぱにはまだ緑色成分の葉緑素が少なく、葉っぱにもともとあるカロチノイドという黄色い成分と重なって黄緑色に見えるのだそうです。
それが葉緑素がどんどん光合成をして増えていくと、黄色を塗りつぶしていって、日差しの強い夏ごろには濃い緑色に変わるというわけですね。

さて、代務寺院の境内に植えてあるお茶の木にも可愛らしい新芽が沢山出ています。
そこで今年初めて茶摘みをしてみました。

柔らかい葉先を三枚ほどプチプチと摘んで香りの良い茶葉を袋いっぱい収穫。
帰宅してからお茶の作り方をネットで検索し、緑茶作りに挑戦です!
揉んでは低温のホットプレートで水分を飛ばすことを何度も繰り返します。
すると、売っているお茶にはかないませんが、良い香りの爽やかなお茶ができあがりました。

無住のお寺の隅で人知れずたたずむお茶の木。
そんな木の葉っぱが本当にお茶になるのか半信半疑でしたが、予想以上にちゃんとお茶の味がして、お茶の木のその身に備わる力に感動させていただきました。
【by坊守】