2023年8月20日日曜日

寺報8月(裏)―住職雑感―

高校生の頃から聞き続けてきたミュージシャンが自身のラジオ番組で故ジャニー喜多川氏による性加害問題について語るのを聞きました。

決して性加害を容認しはしないが自分は故人を尊敬しているし恩もある。倫理と音楽は別。そのような自分の姿勢に不満がある方に私の音楽は不要だろう…という主旨でした。

作者の人間性と作品の評価について考え方が異なるのは仕方がないとしても、人権侵害に関しては個人の見解の差で済まされるものではありませんので、彼のミュージシャンとしての姿勢を大変残念に思いました。

加えて残念に思ったのがもう一つ。
不満があるなら聞かなくて結構というのも四十年来のファンとしてはとてもショックでした。

『法華経』に登場する常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)は、常に「私はあなた方を敬って軽んじません。あなた方はみな、仏になる身なのですから」と語りかけ誰をも礼拝されました。
ときに人に罵(ののし)られ石を投げられることもありましたが、それでも耳を傾けてくださる人にも、そうでない人にも、私の言葉を伝えたいという姿勢を貫き通されました。

あの人にも、そこはそうであって欲しかったと愁(うれ)いつつ、娑婆の人間が菩薩の如くあることの難しさを改めて思ったことです。

2023年8月5日土曜日

寺報8月(表)―坊守エッセイ―

夏もまだまだこれからというのに、「暑いですねぇ~」が挨拶がわりのような今日この頃、皆さま如何お過ごしでしょうか。

日中は外に出るのが躊躇われる程の暑さですが、コロナで中断していた各地のお祭りやイベントが再開されたとのニュースが連日報道されています。

私の身近でもまた一つ夏のイベントが再開しました。
「自分で浴衣を着てみよう!」という中学二年生対象の家庭科の授業です。
着付けの恩師が始めたこの授業、弟子の我々が引継いで十年以上になります。

私はなぜかいつも男子生徒担当なのですが、どの子もこの子も一生懸命に学ぼうとしてくれます。
「俺はやらへん」なんていう子は一人もいません。
慣れぬ浴衣に袖を通し、角帯に奮闘し、お互いに教えあったりしている姿は何と楽しそうなことか!
最後に全員浴衣でポーズをとって記念撮影。
嬉しそうなキラキラした笑顔にこちらまで嬉しくなります。

この学校では中二の夏に浴衣の授業があることを楽しみにしてくれているそうですが、私達の方こそ年に一度、浴衣姿の生徒さん達の笑顔に会えることを心待ちにしているんですよ。
【by坊守】