2020年10月5日月曜日

寺報10月(表) ―坊守エッセイ―

私の名前は父から一字、母から一字貰って「敏美」です。

小学生の頃「名前の意味を聞いてきましょう」という宿題が出たので親に聞いてみたところ「チャッチャとして美しい子」言われ、子ども心にも「?」な返答。
友達の名前にはそれぞれ意味や願いが込められていてそれが何だか羨ましく、親の名前を一字ずつ順番に付けられただけの自分の名前がつまらなく思えました。

しかも姉や妹に比べて「可愛くない名前」だと思い込んでいてあまり好きになれなかったのです。

先日、祖母の十三回忌が勤められました。
仏前に並べられたお供え物の熨斗に親族の名前が並びます。

私の父は自分の母親よりも先に亡くなっているのでこの場に父の名はありません。
けれど仏前に並んだ姉「直美」と私「敏美」にある「直敏」の字をじっと見ていると、父も私達を通してちゃんとこの場にいるのだと思えました。
これまであまり好きになれなかった名前でしたが、父の一字を貰った嬉しさに手を合わせることができた日となりました。
【by坊守】

0 件のコメント:

コメントを投稿