2019年6月20日木曜日

正信偈のお話 道綽決聖道難証⑤

道綽決聖道難証 唯明浄土可通入
万善自力貶勤修 円満徳号勧専称

574年、道綽(どうしゃく)の住む北斉の隣国、北周(ほくしゅう)の武帝(ぶてい)が廃仏令(はいぶつれい)を発します。
武帝は富国強兵を計り、国家の財政を再建するため、仏教や道教の寺院の全廃を含めた行政改革を行いました。
寺院や土地は没収、僧侶は還俗して労働や兵役につかされ、仏像や仏具は回収されて農具や兵器に鋳造し直されました。


このような最中に、14歳の道綽は出家しました。
それは自ら選んだものではなく、飢えに苦しみ、徴兵が迫る少年を心配した母が、我が子の命をつなぐために入寺させたのです。
しかしその翌年、北周の大軍に攻め込まれた道綽の国は滅び、廃仏がなされ、彼はわずか15歳で国を失った追放僧という二重の苦を背負って彷徨う人となったのです。

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