2021年8月10日火曜日

寺報8月(表)―坊守エッセイ―

梅雨が終わったとたんすっかり暑くなりましたね。
夕刻の陽が沈んだ時間を見計らって境内の除草作業をしています。

先日、本堂横の柿の木に羽化する前の蝉の幼虫を発見。
まだ土中から出たばかりのその子は元気に登り続けていました。

よく蝉は土の中で七年間を過ごし、成虫になって地上で暮らすのは一週間ほどという話を聞きますが、実際はツクツクボウシで一~二週間、アブラゼミで三~四週間なのだそうです。

蝉の幼虫はその多くがモグラや、地上に出て羽化するまでにも鳥などに捕食され、無事に羽化が成功して成虫になるのはほんの一部。
なので鳥が活発に動く朝になる前、夕刻から夜半にかけて命を懸けて羽化を完了するのだそうです。

そう思えば朝からシャンシャンと元気良く鳴いている蝉の声もいじらしく聞こえますね。

私達には儚く見える蝉の一生ですが、見ているのは地上にいるほんの一時の姿。
彼らは長い幼虫時代、地中は地中でしっかりと恵みを受け、その中でじっくり生き切ってお日様の下に現れます。
どこにあっても慈悲の中で生かされているんですよね。

願隨寺の土の中で育った幼虫さんは次の日、柿の細い枝先に抜け殻を残して飛び立っていきました。
いってらっしゃい。
【by坊守】

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