2021年3月4日木曜日

寺報3月(表) ―坊守エッセイ―

代務している筒井のお寺にある大きなモチノキ。
境内に広く枝を張り樹冠は本堂の屋根をゆうに超える高さで、真っ青な空に常緑の葉を茂らせている様は威風堂々として、まるで子どもの頃に詠んだあの絵本『モチモチの木』のようでした。

そんな立派な木なのですが、以前から隣家より陽当りが悪いとの苦情があり、この度業者さんに枝を切ってもらう事になりました。

こちらとしては邪魔になる枝を切ってもらうだけのつもりだったのですが、「モチノキは生命力が強いのでいっそ短く切ってしまった方がいい」とアドバイスを受け、お任せする事にしました。

作業が終わった頃に確認しに行くと…なんとモチノキがあった場所には五十センチ程の切り株があるばかり。

そのあまりの光景にギュッと心が締め付けられるような感覚になりました。
人間の勝手な都合でこんな姿にしてしまってごめんね…。

それでも直に切り株から新しく芽が出て緑の葉を茂らせるそうです。
木の生命力はすごいですね。

でも、それでも、この木が好きだった娘は、いたたまれない木の姿を描いてくれず、今回は私が描かいています。

【by坊守】 

0 件のコメント:

コメントを投稿