2022年1月15日土曜日

寺報1月(表)―坊守エッセイ―

蝋梅の柔らかな甘い香りが漂う季節ですね。

蝋梅が好きだった父は境内に根付かせようと枝を貰ってきては何度も挿し木に挑戦していたのですが、結局うまくいきませんでした。
ところがこの冬、数年前にご門徒さんから苗でいただいた蝋梅が初めて蕾をつけたのです。
お父さん、願隨寺に蝋梅が咲いたよ!

先日、数年ぶりに私がお参りするお宅へとバイクを走らせておりますと、ふと「あれ?何処で曲がるんやっけ?」と道が分からなくなってしまいました。
何度か伺ったことのあるお宅なので憶えているつもりだったのに…。

運転しながら記憶を手繰ります。
そういえば、そのお宅への道は父に教えてもらったのでした。

「木でできた人しか渡れへん細い橋があるからな。それを越えて…その次の車も渡れる大きな橋のひとつ手前を左に曲がるねん。」

流れる景色に合わせてよみがえる父の声に導かれて、無事に辿り着くことができました。

「亡くなられても大切な人は常にあなた中にいて下さる」というのはこういう事なのかもしれないと感じた出来事でした。

仏さまとなっても私の生活にちょこちょこ顔をみせてくれる父です。

【by坊守】

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