2021年10月20日水曜日

寺報10月(裏)―住職雑感―

生駒吉乃(きつの)は、戦国武将・田信長が最も愛した女性と伝えられる側室で、後の岐阜城主となる信忠ほか、信雄・徳姫を産んでいます。

愛知県にその吉乃の墓がある菩提寺があるのですが、近く取り壊されることになったそうです。

老朽化に伴い維持管理が難しくなったためで、跡地は市に売却され、公園として整備される見込みとのこと。
役員の十九代生駒家当主・生駒英夫さんによると、お寺には約六十年前から専務する住職がおらず、檀家も十軒ほどといいます。
長年維持管理が課題になってきて、約五年前から取り壊しを検討。
耐震化や雨漏りの問題があっても、費用面から改修は困難だったそうです。

願隨寺も門徒数の少ない小さなお寺ですが、にもかかわらずこうして護持されているのは、偏に門徒会のみなさまのお陰であり、感謝に堪えません。

しかし、お寺は費用だけで保てるものではありません。
人が集ってこそ!
来月十一月十三日(土)の報恩講には是非お参りください。

2021年10月15日金曜日

正信偈のお話 十六⑬

善導独明仏正意 矜哀定散与逆悪

光明名号顕因縁

[二河白道③]

「あぁ、戻っても、じっとしていても、進んでも、どのみち私は死ぬのだ」

八方ふさがりの状況に愕然とする旅人でしたが、そこに一つの覚悟が生まれます。

「そうだ、いずれにせよ死から逃れられないのなら、敢えてこの道を進んでみようではないか。
道は既にある。
きっと渡すために道がついているに違いない」

そう旅人が決心したとき、誰もいないと思っていたこちら側の岸で声がしました。

「旅人よ、躊躇わずにその道を行きなさい。
怖がらなくてもよい。
ひたすらにたずねて進むのです。
そうすればこの難を逃れることができるでしょう」 ~つづく

2021年10月1日金曜日

寺報10月(表)―坊守エッセイ―

青空の下、実りの季節を迎える田んぼがとても綺麗です。
葉っぱにはまだ緑色が残っていますが、稲穂は黄金色になり重そうに頭を垂れ収穫を待つばかりに。

私はご飯が大好きです。
ホカホカに炊きあがった真っ白なご飯は何物にも代えがたいと思っています。

それもあってか、子どもの頃から田んぼの風景がとても好きでした。
水を入れたばかりの湖のような水田や、夏の蒼々とした青田は目にも美しいですし、実りの時期の金色になびく様は神々しさすら感じます。

田んぼに神聖性を見るのはアジア圏でも日本独自の文化だそうです。
それは日本人にとってお米は特別なもので、古くから稲作は神様との共作であるとの考え方があったからだとか。

今日美しく実っている田んぼは、代々大切に受け継がれてこられたことの証なのですね。

昨年はウンカの深刻な食害被害を目の当たりにしました。
どうか今年のお米は豊作で無事に収穫されますように。

【by坊守】