2021年9月15日水曜日

正信偈のお話 十六⑫

善導独明仏正意 矜哀定散与逆悪

光明名号顕因縁

[二河白道②]

目の前の危険な大河に慄く旅人は、これはとうてい渡るのは無理だと引き返そうと後ろを振り返りました。

すると、なんと片方からは盗賊が、もう一方からは野獣や毒虫がゾロゾロと群れをなして、自分を殺そうと近づいてきているではありませんか。

これはいけないと逃げだそうにも、進む先には火と大波の河。

旅人は思います。
「あぁ、私は今日死ぬのだ。
ここでウロウロしていても彼らによって命を奪われてしまうだけ。
かといって河の間の西へ向かって伸びるあの細すぎる道はとうてい渡れない・・・」 ~つづく

2021年9月10日金曜日

寺報9月(裏)―住職雑感―

去る7月26日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が世界自然遺産へ登録されました。

一昔ならば登録の喜び一色でしたが、最近は環境への意識が高まってきて、そう単純ではないようです。
悩みの種は観光客の増加。

当然、人が増えれば交通量も増えます。
それによってヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコといった島々の希少動物が車にひかれ命を落とす「ロードキル」が増えてしまいます。

また、人が増えれば環境が破壊されます。
逆に、例えばコロナで観光客が減ったことによって、たった一年でハワイのオアフ島の水質は改善されました。
こうしたこともあり、「オーバーツーリズム(観光地に許容を超えた観光客が押し寄せること)」対策としてマウイの郡議会では宿泊施設の新規建設を凍結する条例が可決されました。
今回、沖縄県も西表島入島の年間の人数制限を示しています。

他にも、現地ツアーによる人間の糞尿による環境破壊対策として、犬のアレみたいに自分で持ち帰ることを始めているそうです。

このように経済効果一辺倒から、自然への配慮を大切にするようになってきたことは喜ばしいことですね。

2021年9月2日木曜日

日々草の花一輪

私が発起人、陶芸家である御所のお寺の畠中夫妻を講師として、大阪の難波別院を会場に2016年から3年ほど教区陶芸同好会を行っていたことがあります。

その時に作った素焼きのお猪口を晩酌に使った翌日、坊守が寺報にも書いた日々草の花を一輪浮かべていました。

2021年9月1日水曜日

寺報9月(表)―坊守エッセイ―

今年のお盆は雨続きで八月とは思えないくらいの気候でしたね。
このまま秋に突入してしまうのかと思いましたが盆明けから残暑は例年通りです。

朝、まだ境内に直射日光がさす前に鉢植えにお水をあげます。
母の日に娘がくれた紫陽花と、種から育てている臘梅、そしてご門徒の奥さんから頂いた日日草(ニチニチソウ)です。

実は私はお花を育てるのが苦手で、何故かすぐに枯らしてしまうのですが、今年はお盆の雨に助けられてどの鉢も元気です。

日日草という名前は、日々絶えることがなく花が咲き続ける様子から付けられたと言われています。
ソフトクリームのようにキュッとねじれた蕾が可愛らしく明日も新しい花を咲かせてくれるのねと嬉しくなります。
花言葉は、毎日新しい花をたくさん咲かせる姿が、日々新しいことを経験してワクワクしていた幼い頃や、そんな日々を共にした友だちとの絆を連想させることから、「楽しい思い出」「友情」というそうです。

すっかりおばさんになりましたが、日々の新しい出逢いは今も楽しみです。

【by坊守】