2019年3月29日金曜日

寺報3月(裏) ―住職雑感―

「花咲かす 見えぬ力を 春という」。

藤元正樹という先生の言葉です。

種はあっても自らの力だけでは花と咲くことはできません。
水や気温を含めた様々な自然の働きに促されて花は咲きます。
そうした目に見えぬ大きな力を春といいます。

そしてこの句は、「人となす 見えぬ力を 仏という」と続きます。

人として生まれてきても、人間らしく生きることができるとは限りません。
真面目に仕事をして、法律を守ってさえいれば人間らしいのかといいますと、それもどうでしょう。
人生の春夏秋冬を通して、人間として成熟していくことが人生の目的です。

でも、それは自分の力だけでできることではありません。そのように促してくださる働きを仏様といいます。

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2019年3月21日木曜日

春期彼岸会 息子が初めての調声

春の暖かさを感じるお彼岸の中日、願隨寺では春期彼岸法要が勤まりました。

今年二十歳になる息子に少しずつ経験を積ませようと、今回はお経の最初に声を出す調声(ちょうしょう)と、鐘を叩く鏧役(きんやく)と音木(おんぎ)を勤めさせる事に。
勤行が始まる前に参詣のご一同様には見苦しい事があるかもしれませんとお断りをしておいたのですが、見ている方がドキドキします。

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これまで導師の後について声を出していただけでしたが、調声鐘役となると責任が全然違います。
間違えても誰もフォローできませんし、目立ちます。
案の定鏧の叩き忘れ&叩きすぎをやらかしてしまいました。
そして、息子に調声を任せたはずの住職が、ついいつもの癖で調声をやってしまうという場面も(笑)。
何事も経験ですね(親子共々)。

ご門徒さんにはこれも成長のうちと暖かく見守っていただき、ありがとうございました。
これからもお育てよろしくお願いいたします。
    【by坊守】

2019年3月14日木曜日

春期彼岸会のご案内

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お水取りも終わり、来週はお彼岸です。
彼岸の中日には本堂にて彼岸会をお勤めいたします。
みなさまお誘い合わせの上、是非お参りください。

3月21日(木) 午後2時より
 春期彼岸会


※彼岸会に引き続き午後3時より「門徒総会」を執り行います。

2019年3月10日日曜日

正信偈のお話 道綽決聖道難証②

道綽決聖道難証 唯明浄土可通入
万善自力貶勤修 円満徳号勧専称


道綽(どうしゃく)(五六二~六四五)は、曇鸞(どんらん)と同じく中国の山西省に生まれました。
活躍したのも同じ并州から汾河の流域です。

その浄土信仰の実修の道場は、ともに石壁山玄中寺です。
道綽は、はじめ『涅槃経(ねはんきょう)』を大いに研究し、その道の大家として知られるようになりました。
たまたま玄中寺を訪れたときに、以前ここに住んだ曇鸞のことを刻んだ碑文を読んで感動し、回心(えしん)したのです。
道綽四十八歳の時です。

以来、八十三歳で入寂するまで、念仏を称えること日々に七万遍。また『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』を講義すること二百回以上に及んだと言われています。

2019年3月1日金曜日

寺報3月(表) ―坊守エッセイ―

姫路で行われた近畿連区坊守一泊研修会に参加して参りました。

「いま寺に生きる ― 問いとともに歩む生活を」というテーマのもと講義を受け、座談会で坊守同士、自分たちの意見を話し合いました。
いろんなお話がありましたが、私は先生が言われた「仏法と世間は無縁であってはならない」という言葉に深く頷かれる所がありました。
世間の価値観はその時代の権力や情勢で簡単に変化するものですが、変わることの無い仏の智慧を学ぶ事で、このあやふ
やな世間に惑わされつつ生きている私だなぁと気づくことができるのですね。

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二日間の研修の後、研修で親しくなった坊守さん達と姫路城を散策をしました。
桜にはまだ早かったですが、抜けるような青空に真っ白な天守が映えて神々しいほどに美しかったです。

この地の人々は代々このお城を誇りに思っておられたことでしょう。美しいと思う心も仏の智慧と同じく変わることのないものなのかもしれません。
    【by坊守】