2022年5月1日日曜日

寺報5月(表)―坊守エッセイ―

「今年も姫餅始まったよ~」と友人からの便りが届きました。

毎年四月中旬から五月初旬にかけてこの時期だけ営業される當麻の春木春陽堂さん。
葛城山麓で採れた生の蓬だけを使う姫餅はこの時期限定です。
出始めの四月新芽の蓬は柔らかくて優しい香りで、五月に入るとだんだんと成長した力強い蓬の味を楽しめます。
ご親族総出で作られている姫餅は大人気で、連日行列ができて午前中には売り切れてしまうそうです。

願隨寺の灌仏会(お花まつり)も以前は婦人会の皆さんが蓬を摘んできてくださり、それを杵と臼でついてよもぎ餅を手作りしていました。
蓬を湯がく香りや、まな板の上で蓬を叩く音を懐かしく思います。

お花まつりの子ども会に参加して小さな手で杵を握ってお餅をついてくれたお子さんたちはもう立派な大人になっていることでしょうが、あの日の事を覚えてくれているでしょうか。
きな粉をいっぱいまぶした緑色の甘いお餅はおばあちゃん達の願いがいっぱい詰まった最高の贈り物でしたよね。
【by坊守】

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