敬って阿弥陀如来の御前に白して言さく。それ当月八日は釈迎牟尼世尊 普く衆生のため 娑婆世界に降誕し給い「天上天下唯我独尊」と宣いき。すなわち「天にも地にも 我ひとりこの〝いのち〟尊し」との喜びを 我等もこの身に抱きつつ、念仏もろともに謹みて聖教を読誦し奉る。
四月八日はお釈迦さまの誕生日です。なんと生まれてすぐに七歩歩いて「天上天下唯我独尊」と宣言されたと伝わっています。さすがに後世に作られた伝説だと思われますが、お釈迦さまがお生まれになられた意味を伝えんがためにそのようなお話しになったのでしょう。
まず七歩歩いたという伝説。これは、六道(地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天上)といわれる悪、欲、無恥、怒り、迷い、怠惰といったものから離れられない私たちの日常を、もう一歩先へ超える生き方があるということを表します。
そして「天上天下唯我独尊」は、お釈迦さまの存在は他と比べようがなく尊いのですよという意味であると同時に、一人ひとりの存在はこの世界に上も下も無く、誰とも代わることのできない命としてそままに尊いのですよということ。
続く「三界皆苦吾当安此」は、形ある物、形のない習慣や文化、同じく形はなくとも自分の心への執着はいずれも私たちを悩ませ苦しめますが、そうした人としての性分を抱えつつも心を定め安んずる生き方があるのですよということです。
そうした仏さまの教えはお釈迦さまがお生まれになられたからこそこの世界に示されたのであり、それがどれほど奇跡的なことであるかがお話しには込められているのでしょうね。
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