2023年2月15日水曜日

寺報2月(裏)―住職雑感―

去年の今頃は、まさかこの時代に戦争が始まるなんて有識者ですら思いもしませんでした。

早いものでもう一年、今日もウクライナの人々は極寒の中を苦しみ続けています。
対するロシア兵の中にもきっと自分たちの行いに疑問を持ち苦しんでいる人もいることでしょう。

『法句経』の「すべての者は暴力におびえる。すべての生きものにとって生命は愛しい。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」というお釈迦さまの言葉が切実に感じられます。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の方の現地レポートの中にこんな一文がありました。
「ミサイル攻撃の後、緊急停電した夜。懐中電灯を照らしながら家へと帰っていたら、周りがみんな空を見上げていて。何事かと思って見上げると、星が本当にたくさん見えた。街があまりにも暗くて、空が変に明るかった。綺麗なのか、悲しいのか、よくわからなかった。」

こうした悲しい状況を作り出す人間の業を嘆かざるをえませんが、同時に、そんな中でも美しいものに感動できる人間という存在に愛おしさも感じるのです。

2023年2月1日水曜日

寺報2月(表)―坊守エッセイ―

十年に一度の寒波とかで一月の下旬はよく冷えましたね。
そんな寒さに負けず本堂の裏では山茶花がこぼれる程の花を咲かせています。

はばかりながら私が講師を勤めさせていただき、客殿をお借りして着付けと和裁のお稽古をしています。
春から単衣を習い始めた方が襟付けを終え、いよいよ仕上げの段階にはいりました。
月一回のお稽古ですが、宿題だけではなく運針の自主練習にも真面目に取り組まれる熱心な方です。

それでも、こちらが予測しない所で躓かれたり、苦心して縫ってこられた宿題を私が全部解くことになってしまったり…。教えるということの難しさをひしひしと感じます。

ですが、ちょっとした事に「和裁の技術って凄い!」と驚いたり感動したりしてくださるときは、とてもやりがいも感じます。

教える側の私にも新な発見があり、何気なくやっている一手一手の意味や大切さに改めて気づかせていただける良い経験になっています。

着付けや和裁に興味をお持ちの方、ご一緒にお稽古しませんか?

【by坊守】