2023年7月15日土曜日

寺報7月(裏)―住職雑感―

「田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。鳴き声が煩うるさくて眠ることができず非常に苦痛です。騒音対策のご対応お願いします。近隣住民より」

え~っ!?でしょ。
ところが近頃はこんなクレームはよくあることのようで……。

でも二年前の同様の訴訟ではカエルの鳴き声は自然の音なのでお咎めなしとの判決が下されています。
当然ですよね。

ちなみに〝自然〟という言葉は元は仏教用語で「じねん」と読みます。
「おのずから」とか「ひとりでに」という意味です。

また、あるがままの様子も意味します。
あなたの思いを超えてこの世界は成り立っているのですという教えが含まれています。

江戸時代に英語の「ネイチャー」の訳としてこの言葉があてられ、海や山といった環境、植物や動物の生態系などで、人間の手が入っていない状態のものの意味で使われるようになりましたが、本来の意味をぜひ忘れないでほしいですね。

ところで、世の中には気の利いた方もおられるようで、冒頭のクレームに対してこんな返信も(笑)。
「田んぼの持ち主様へ ご迷惑をおかけしています。騒音ではなく自然音という司法の判断と皆様の声援を信じてめっちゃ泣きます。カエルより」ケロケロ♪

2023年7月5日水曜日

寺報7月(表)―坊守エッセイ―

境内の隅に置いた鉢植えの朝顔が咲きました。
これは先月、王寺町の明神山の頂上で登山者を吹奏楽の演奏でお迎えする「シルバーウォーク」というイベントに出演した際に参加賞としていただいた朝顔です。

その名の通り、参加者は日々ウォーキングに親しまれている元気なシルバー世代のみなさま方です。
中には杖を使われている方もおいでですが、それぞれご自分のペースで登ってこられます。
初夏の暑さの中でしたが、山頂へと続く遊歩道のほとんどが木陰になっているお陰で、結構快適に登山を楽しむことができるみたいです。

さて、演奏会で一番好評だった曲は『君といつまでも』や『お嫁においで』が入った弾厚作(加山雄三さんの作曲家としてのペンネーム) のメドレーでした。
久しぶりの、しかも青空の下でのコンサートは、演奏させていただいた側もとても楽しむことができました。
やっぱり開放的な場で奏でる音楽はステキですね。

参加賞の朝顔の苗は地元の小学生が育ててくれたものだそうです。
きっと今頃、参加者の皆さんのお庭でも可愛い花を咲かせている事でしょう。
朝顔が一つ咲く度にあの日の青空を思い出して嬉しくなりそうです。
【by坊守】