2023年5月15日月曜日

寺報5月(裏)―住職雑感―

〝 敗北〟…なんとも悲しい現実が耳に飛び込んできました。

国連の世界気象機関は先月、気候変動に関する年次報告書を発表。
世界の氷河が昨年、劇的なペースで溶けてしまったそうで、「われわれは氷河を救う試みにすでに敗北した」との見解を示したんです。

要するに、地球の環境はもう元には戻らない一線を越えてしまったということです。
ガ~~~ン…。

このことで将来、氷を失ってシクシク泣かないといけないのは白熊やペンギンだけではないんですよ。
氷河の融解は北国や山岳地帯で頻繁に洪水を起こします。
海面上昇によりマーシャル諸島のように国土を失いつつある島国もあります。

近くでいえば関空は水没です。
まぁ、大阪湾沿岸や淀川、大和川水域では堤防を高くするんでしょうが、それでも水害に遭いやすくなるのは避けられません。

本気で、みんなで今のライフスタイルを変えていかないと子どもたちに豊かな世界を残せなくなります。

アメリカ先住民の世界観では、現在自分たちが得ている恩恵は未来からの借り物であって、未来に返さなければならないのだそうです。
つまり、自分の死後へ、次世代へ、生前以下の世界を渡してはならないんです。

ぜひこの考え方を見習いたいものですね。

2023年5月5日金曜日

寺報5月(表)―坊守エッセイ―

春を飛び越えて一気に初夏になったかのような日和になりましたね。

この春から新社会人になった友人の娘さんから写真付きの便りが届きました。
畑の中に真っ直ぐに伸びた道の正面には青空に映える見事な富士山!
毎朝、職場がある商業施設まで富士山に向かって自転車を漕いでいるのだそうです。
何と羨ましい日常だろうと思うのですが、彼女は「デカいだけのただの山や」というのです。
始めは「おおっ!」と思ったけど、もう見飽きたと。
慣れぬ仕事でそれどころではなく、ただそこにあるだけの風景の一部になっているのでしょうね。

私は斑鳩に住んでだいぶ経ちますが、大和川方面から小吉田に向かう田んぼ道を通る時、そこから見える斑鳩の風景に何度も感動しています。
新緑の季節の山々、水を張った田んぼ、実りの季節、それぞれにとても美しくって。
細やかな感動ですが、日常の中でそんな恵みを与えてもえらるのって有難いことだと思っています。

新入社員の彼女の生活はまだ始まったばかり。
きっとこれから様々な表情を見せてくれる富士山に助けられる事もあるでしょう。
あなたを取りまく風景に見守られて、頑張れ!新社会人!
【by坊守】